ここ最近、あまり当たりが無かったネットフリクサー・山田です。何作か響くものがなく悲しい気持ちで日々過ごしていた山田ですが、やっとあたりに巡り合えました。にじいろカルテ、というドラマです。紹介動画はコチラ。
熱意をもって医師になり救命救急に配属となった紅野真空(高畑充希)は、仕事中に倒れてしまう。診断の結果は多発性筋炎、真空は勤めていた病院を休職となってしまう。呆然自失としていた真空がたまたまで出会ったのは虹ノ村の役場職員・霧ヶ谷(光石研)。虹ノ村で医師を募集していることを知った真空は病気のことを隠して応募。採用になった真空は期待と不安を抱えて新たな職場、そして住まいとなる虹ノ村に向かう。
そこは豊かな自然と温かな村民、そして個性豊かな先任の医師・看護師が住む山間の山村だった……。
というような内容。医療ドラマではあるものの基本的にはほのぼの・のんびり系のドラマ。出てくる人達は個性的ではありますが基本皆いい人。
そして真空と一緒に住み一緒に働くことになる看護師・蒼山太陽(北村匠海)、外科医・浅葱朔(井浦新)もキャラ立ちしており色んな過去や思いがあったりするも、いい人。
この世の中の上澄みだけを綺麗に掬い取ったような、救いのあるほんわかストーリー、そう、これは現代の寓話なのです。
その寓話性を際立たせているのが時折現れる虹ノ村の全景映像。
この模型っぽい全景から村の中の出来事に入っていくのですが、その演出と村でのエピソードを併せて考察するに、リアリティというよりも物語の温かみや鑑賞後の余韻的なものを重視した作りになっているように思われます。
その寓話性の最たるものは真空が迎える結末。
元気そうに見えても実は病状が進行していた真空はとうとう倒れてしまいます。虹ノ村での日々の中で絆の深まっていた三人、街の病院に向かう真空に太陽と朔がキスをする……。
これ、より現実的に描くとすれば真空をめぐる三角関係的なものが生じやすい環境だと思うのです。現実にはこんな絵のような場面は生じない、どころか三人の良好で友好的な関係を維持し続けるのってとても難しいのではないでしょうか。
しかしそこは現代の寓話、にじいろカルテ。こんな奇跡のような映像が自然に入ってくるのです。
コロナ禍の影響なのか、世の中どこか殺伐としていると思いませんか?
現実が重すぎる時、辛すぎる時、とりあえずその場から離れることは決して間違った選択肢ではないと思います。
逃げ出したい時、そんな時にはおとぎ話に目を、耳を傾けるのもいいかと思います。
ところでこのドラマ、高畑充希さんの存在感がとっても大きいものでした。
山田は日本のドラマをよく見る機会があるのですが(大抵マニアックなものですけど……)、高畑さんは本当にいい役者さんだと思います。まとっておられる日常感、醸し出せる特別感etc…、それらを活用してうまくその役となっておられて、本っ当に上手だなぁ……としみじみしていました。
いやぁ、日本のドラマだって捨てたものじゃない!
ケアマネ的視点
・現実ばかり見ているのが辛い時もある。
・物語には現実から引き離してくれる効果がある。
・疲れたら、ちっょと逃げ出してもいいんじゃない?