人には人生を変えた本、というものがあると思います。侘しい人生を突き進む山田にだって、そんな本がいくつかあります。
その筆頭が村上春樹著、ノルウェイの森。なお、以下の画像は映画版のもの。
東京の大学に通うワタナベには自殺した親友がいる。名前はキズキ。高校生の頃、ワタナベはキズキとその彼女、直子と三人でよく遊んでいた。キズキが死んでから疎遠になっていた直子だったが、偶然、東京の電車の中で再会する。
再会をきっかけにデートを重ねるワタナベと直子であったが、20歳になる誕生日を最後に直子はワタナベの前から姿を消してしまう。
大学では学生運動の嵐が吹き荒れているが、そんな中で渡辺は緑という女の子と知り合う。緑と会い、二人の時間を重ねていくワタナベのもとに直子から手紙が届く。直子は京都の山奥の施設にて療養しているという。
直子に会いに行くワタナベ。直子との逢瀬を重ねるワタナベは、やがて直子との二人の暮らしを思い描くようになる。しかし直子の状態は悪化していき……。
というような内容。ストーリーは明るいものではないのですが、ユーモラスな描写や読みやすい文章によってそこまで重すぎない雰囲気。
このお話は文庫本で上下巻なのでなかなかのボリューム。それを最後まで読み通せるかどうかは文体が肌に合うかどうか、がとても重要ではないかと思います。
山田にとってはノルウェイの森の文体はとても心地よく、読んでいること自体が快感である、というほどでした。
そんな文体で描かれている内容はなかなかヘビーなものであり、生と死をテーマにしていることもあってなかなか難解。それをどう感じるか、どう読み解くかは読者に委ねられるべきものですが、死は生の対極としてではなく、その一部として存在している、という作中の根底を貫く考え方は非常に感慨深いもの。
なかなか衝撃的な出来事があったり、難しい所もある作品ですが機会があれば一度お読みになることをお勧めします。
特に、福祉関係のお仕事をされている方にとっては、これから後期高齢者になっていかれる団塊の世代の方の青春時代がどんなものであったかを知るいいきっかけにもなるでしょう。
ちなみに、手っ取り早く内容を知りたいので映画を見よう、とお考えの方は要注意。
役者さんもキャラクターの特徴をとてもうまく引き出しておられますし、よくできてはいるのですが、ある登場人物の描き方が決定的に違い、その違いによって作品が秘めているテーマというかメッセージというか、そういうものが全くの別物になってしまっています。
好みの問題ではありますが、山田は断然、原作が好きです。
ケアマネ的視点
・人には個性があり、それまでの人生がある。
・生き方は人それぞれ。交わりたいのにうまく交われない人生もある。
・それでも人は生きていくもの。
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