今回ご紹介する映画は、ラースと、その彼女(←youtube予告編)。
このパッケージを見てよくあるその辺のB級映画だと思った方、ちょっとまって!
これは実に深い、そして福祉関係、特に認知症の方、妄想を伴う精神疾患をお持ちの方と関わる人にはぜひ見てほしい映画なのです。
とある町に住む、優しくてシャイなラース。ほとんど人と関わることなく一人穏やかに暮らしています。
隣に住む兄夫婦はそんなラースを心配していましたが、ある日、ラースが「紹介したい人(彼女)がいる」と言って訪ねてきます。
喜んだ兄夫婦、しかし彼らが対面したのは等身大の人形を彼女として連れてきたラースなのでした……。
といった内容。
この映画の素晴らしいところは、ここからの展開。
驚いた兄夫婦が連れて行った病院の医師は、周囲の人がラースの世界に合わせなさい、と指示します。ラースが連れてきた彼女(ビアンカ)をさも本当の人間のように扱いなさい、というのです。
最初は戸惑いつつもビアンカを普通の女の子として接するようになる兄夫婦、やがて兄夫婦は町の人達にも協力を呼びかけ、周囲の人たちはみんな、ビアンカをラースの彼女として接してくれるようになります。
これって、認知症の方、精神疾患がある方との接し方と共通していると思うのです。
相手の世界を否定せずその世界をわかろうとする、他人との関係はそんなところから始まると思います。
例えば山田は龍が如くが大好きです。そして管理者・浅井はフットサルが趣味です。その他、山田と浅井はあまり共通するところはありませんが、互いの違いを否定しあわず尊重し合うことで同じ職場で平和に仕事をしています。
認知症の方、精神疾患の方が相手でも、それは同じだと思うのです。「自分とは違う」「相手がおかしい」という立ち位置からは理解は生まれませんし、理解がなければ到底支援なんてできるはずありません。
相手の世界をわかろうとする姿勢、そして行動によって初めてそういった方の支援ができるのではないかなぁ、と考えさせられました。
ビアンカを通じて周囲の人との関わりを持つようになったラースのその後は、ぜひその目で確認してください。
見始めた時には想像もしなかった感動が訪れるはずです。
ケアマネ的視点
・わかりっこない、そう思える相手でも、その人がいる世界を想像してみる。
・わからなくても、わかろうとし続ける。
・寂しくても人形には恋をしない。