この度、山田は衝撃的な出会いをしました。
見ている途中、そして鑑賞後の衝撃……こういうドラマ・映画は数十本に一本あるかないか……癖が強くて万人受けしないのは確実なのですが、少なくとも山田にとってはここしばらくで一番の衝撃的なドラマでした。
トレイラーはコチラ(劇場版予告)。
中堅文具メーカーに勤める辻一路(森崎ウィン)は、仕事は無難にこなしつつ、同じ会社の二人の女性と関係を持ち続けている。仕事にも恋愛にも真剣になり切れない辻は退屈な日常を過ごしていた。
そんな辻は、レンタカーが踏切で立ち往生している場面に出くわす。思わず助けに向かう辻、運転席にいたのは葉山浮世(土村芳)。何とか救出した後の警察の聴取、浮世は運転していたのは辻だ、と答える。不信感をあらわにする辻、警察の誤解は解けたものの、浮世は辻に借金を申し込む。呆れ返る辻だが仕方なく連絡先を交換し浮世にお金を貸すことに。
しかし浮世との連絡がつかないまま。そんなある時、辻は街中で寝入っている浮世を見つける。無視しようかとも思う辻だったが、迷惑をかけるだけかけて姿を消した浮世への怒りから彼女に声をかける。
期せずして再会した辻と浮世、二人は破滅への道を一緒に踏み出していたのだった……。
というような内容。あらすじからもわかるように、暗い話です。そして、特に前半は胸糞展開のオンパレード。
その主要な要因はヒロインの浮世。この人、とても不思議な人です。そして不愉快な人です。
浮世は男性を自然と引き付ける不思議な魅力を持っています。その魅力で引き寄せられる男はたいていろくでもない人で……。ここが浮世のかわいそうな点。
加えて、浮世はそこまで悪い人ではありません。ただ思慮が浅く自分に正直であるがゆえに思い付きで突拍子もない行動をとり続けるのです。そのことが自分や周囲を巻き込むトラブルになっていくのですが、そんな自分をどうすることもできない様子。……見ていて、いらいらします。
普通、物語って登場人物へのシンパシーが共感を引き付ける原動力になっていくと思うのですが、この本気のしるしはどんな登場人物にも共感できないにもかかわらずどんどん物語に引き込まれていくのが不思議なところ。この吸引力、謎です。
こういう理屈じゃ説明できない魅力、大好きなんですよね……。
またこのドラマ、役者さんがとっても素晴らしい。主演の森崎ウィンさんと土村芳さんが素晴らしいのはもちろん、山田が一番いいなと思ったのが辻の本命の恋人・先輩を演じる石橋けいさん。
この人が職場のお局さん、かつ辻の浮気を認めつつも関係を継続させている哀愁と言いますかもの悲しさというものを本当に上手に演じておられます。
あとあと、このドラマの演出も非常に独特。淡々としたカメラワーク、そしてほとんどないBGM、そんな中で繰り広げられる目も当てられない、地獄のような展開……。
一見地味にも思えるのですが、なんというか言いようのない生々しさというかリアリティを醸し出しているんですよね。
この辺りも好みが分かれるところかと思います。
実はこのドラマの監督、深田晃司さんという方なのですが、最近、LOVE LIFEという映画でヴェネツィア映画祭に選出されたそう。
その報に触れたのがちょうどこのドラマにはまっている時だったので、なんかうれしかったです。
山田のセンスもそう的外れではないはず……。
ケアマネ的視点
・他人に迷惑をかけてしまうことはある。
・自分ではどうすることもできないことがある。
・ちゃんと助けを求められるようになろう。